KIND of SAKE
種類を知っておきましょう
●好きな日本酒を探し出すことから。
五千を越える日本酒の銘柄の中から、あれこれと選んで飲み比べてみる、日本酒ならではの楽しみです。でも実際は、「なにをどう選んだらよいのかわからない」というのが、実情でしょう。
日本酒は、かつては特級、一級、二級という級別制度がありましたが、今はその製造方法や原材料によって分類する「清酒の製法品質表示基準」による特定名称酒と、広く一般に愛飲されている日本酒があります。おいしいお酒に出会うためにも、まず、その種類と特徴を知っておきましょう。

●特定名称酒には三種類があります。
吟醸酒・・・・ 精米歩合60%以下の白米と米こうじ及び水、またはこれらと醸造アルコールを原料として吟味して造ったお酒で、固有の香味及び色沢が良好なものです。
純米酒・・・・ 白米と米こうじ及び水だけを原料として造ったお酒で、香味及び色沢が良好なものです。文字どおり、お米だけで造られたお酒です。
本醸造酒・・・ 精米歩合70%以下の白米、米こうじ、醸造アルコール及び水を原料として造ったお酒で、香味及び色沢が良好なものです。
これら特定名称酒は、下記の表のように、原料米、製造方法などの諸条件によって、さらに八種類に分類されます。
特定名称 使用原料 精米歩合 麹米使用割合 香味などの要件
吟醸酒 米、米こうじ、
醸造アルコール
60%以下 15%以上 吟醸造り
固有の香味、色沢が良好
大吟醸酒 米、米こうじ、
醸造アルコール
50%以下 15%以上 吟醸造り
固有の香味、色沢が特に良好
純米酒 米、米こうじ - 15%以上 香味、色沢が良好
純米吟醸酒 米、米こうじ 60%以下 15%以上 吟醸造り
固有の香味、色沢が良好
純米大吟醸酒 米、米こうじ 50%以下 15%以上 吟醸造り
固有の香味、色沢が特に良好
特別純米酒 米、米こうじ 60%以下又は
特別な製造方法(要説明表示)
15%以上 香味、色沢が特に良好
本醸造酒 米、米こうじ、
醸造アルコール
70%以下 15%以上 香味、色沢が良好
特別本醸造酒 米、米こうじ、
醸造アルコール
60%以下又は
特別な製造方法(要説明表示)
15%以上 香味、色沢が特に良好

■精米歩合とは
白米のその玄米に対する重量の割合をいいます。精米歩合60%というときには、玄米の表層部を40%削り取ることをいいます。
米の胚芽や表層部には、たんぱく質、脂肪、灰分、ビタミンなどが多く含まれ、これらの成分は、清酒の製造に必要な部分ですが、多すぎると清酒の香りや味を悪くしますので、米を清酒の原料として使うときは、精米によってこれらの成分を少なくした白米を使います。ちなみに、一般家庭で食べている米は精米歩合92%程度の白(玄米の様相部を8%程度削り取る)ですが、清酒の原料とする米は、精米歩合75%以下の白米が多く用いられています。特に、特定名称の清酒に使用する白米は、農産物検査法によって、3等以上に格付けされた玄米又はこれに相当する玄米を精米したものに限られています。


■麹米とは
米麹(白米に麹菌を繁殖させたもので、白米のでんぷんを糖化させることができるもの)の製造に使用する白米をいいます。
なお、特定名称の清酒は、麹米の使用割合(白米の重量に対する麹米の重量の割合をいいます。)が15%以上のものに限られています。


■醸造アルコールとは
でんぷん質分や含糖質分から醸造されたアルコールをいいます。もろみにアルコールを適量添加すると、香りが高く、「スッキリした味」となります。さらに、アルコールの添加には、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落菌)の増殖を防止するという効果もあります。
吟醸酒や本醸造酒に使用できる醸造アルコールの量は、白米の重量の10%以下に制限されています。


■吟醸造りとは
吟味して醸造することをいい、伝統的に、よりよく精米した白米を低温でゆっくり発酵させ、かすの割合を高くして、特有の芳香(吟香)を有するように醸造することをいいます。吟醸酒は、吟醸造り専用の優良酵母、原料米の処理、発酵の管理からびん詰・出荷にいたるまでの高度に完成された吟醸造り技術の開発普及により商品化が可能となったものです。



●この他に、製造上の特徴から生酒、生貯蔵酒、樽酒、原酒等があります。
生酒・・・・・ 製成後、一切加熱処理をしないお酒。
生貯蔵酒・・・ 製成後、加熱処理をしないで貯蔵し、出荷の際に加熱処理するお酒。
樽酒・・・・・ 木製の樽で貯蔵し、木香のついたお酒。
原酒・・・・・ 市販の日本酒は、加水しアルコール分を調整してからビン詰めを行いますが、加水せずに醪(もろみ)をしぼったままの濃厚な日本酒を原酒といいます。アルコール分が20%前後と高くオンザロックに最適です。

●ラベルを読んでみましょう。
ではお手元の日本酒のラベルを見て下さい。
銘柄のほかに、原材料、製造年月、アルコール分などが記されています。また前述したように、吟醸酒、純米酒、本醸造酒、生酒、生貯蔵酒などの表示。さらに広く愛飲されているものについては、各メーカー独自のランク付けとして、例えば、特撰、上撰、佳撰などの表示をしているものもあります。これらを参考にすれば、そのお酒がどんなお酒であるかがわかります。
ですから、日本酒を選ぶ時には、まずラベルをじっくり見ることから始めるのがいいでしょう。また、ラベルに、日本酒度、酸度を表示しているものも少なくありません。これらの酸と、糖分の微妙なバランス、そしてその無数の組み合わせが、それぞれの日本酒の独特の味を醸し出してくれるのです。
このようにお酒のラベルを見ることで、それぞれのお酒の個性を知ることができます。いろいろな種類のお酒を飲んでみる、味を飲み比べてみる。そして、本当に自分がおいしいと思うお酒を見つけだしてゆく。そうして、日本酒とのつきあいは深まってゆくのです。

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